過剰なまでのあがり症・麦ちゃんのキャラクターを中心に、対立する2つの演劇サークル、対照的なちとせの個性、演劇研究会メンバーの描写、部長榊のキャラと、もう見所満載で、ストーリィ展開の妙味に酔わされるばかりです。
加えて細部の描写、たとえば校舎内の採光とか、野乃が咽喉を気にしているところとか、窓から見える風景の個性とか(橋が見えるのは、アニメ先着だったんですね)、仕掛けも面白いし、実に濃密なつくりになってます。
物語技術に関しては、今期トップランクじゃないか、って気がしてくるくらいです。
順番に気になったところを拾っていきますと、まず、麦の思い違い。
研究会が3年生3人だけで、自分と西田甲斐を入れても5人しかおらず、全員が裏方兼務であることを知って、びっくり仰天。

この表情、ときどき出てきますけど、可愛いですね。
研究会メンバーに関しては、イケイケドンドンの西田姉が前回前面に出てきてましたけど、メガネ男子・桂木君がちとせに惚れられてしまったり、会長野乃のけだるく怪しい影のある雰囲気、これが十分に描写されてました。
第1話で演劇部の方に入部するくだりまでは描かれていた、神奈ちとせ。

こっちは対照的に、物怖じせずイケイケドンドンな性格。
麦のクラスメートは麦のジャージにあった名札から、麦が「にせ神奈」、ちとせが「神奈オリジナル」と認識してしまい、その呼称を嫌がったちとせを見て佳代がアダナを命名。
オリナル・・・ちとせとか、神奈とかがまったく入ってません。(^_^;
一方のちとせの方も麦にあだなをつけてました。
麦チョコ・・・こっちはあだなっぽいですな。
しかしこういう1事件があだなになってしまう、っていうのも、学生っぽい雰囲気です。
前回の舞台でも感じたのですが、学校描写が実に秀逸ですね。
今回で言うと、校舎内の採光。
前回でも、倉庫の様子とか廊下とかで出てましたけど、今回はその廊下がけっこう重要な舞台になってたので、いっそう印象的でした。
古い木造の校舎なんですが、それがいかにも地方都市の伝統校(藩校以来の伝統とかもってそうな)のムードをよく出してくれていると思います。
まぁ、ここは旧制ナンバースクールとかではなく、芸術系ですから、ちょっと違うかもしれませんが、そういう過去につながった高校、みたいなムードは漂っていたように感じた次第。
さて、2つある演劇サークルの確執がさっそく目に見える形であらわれました。
演劇部・ちとせが麦を着替えに連れ込んだのが演劇部部室、それをたまたま研究会メンバーに目撃されて会長野乃自らの出動、そこで鉢合わせする演劇部部長・榊美麗。
すげー迫力でした。
まぁ、これは中の人、川澄さんと雪野さんに負うところもかなりあったとは思いますが。
まず、2年のときに空手部に膝をつかせたという噂の野乃。

そして、場の状況を瞬時に把握して、新入生麦をとりこみ切り崩そううとする、榊。

その榊に対して、自信たっぷりに「その子が自主的に演劇部に行くはずがない」と気って捨てる野乃。
「だってその子、演劇キライだもの」
・・・ゾクゾクしました、ここでのやりとり。ステキすぎ。
まず、宿敵・研究会の1年生が演劇部付近にいたことで、咄嗟に「演劇部ではない研究会の新入生」と解釈して、演劇部にとりこもうと、瞬時の判断を下す榊。
それに対して、麦の声の才能にほれこみ強引に勧誘しておきながら、部室での挙動を見て、心の内のかなりな部分までを見抜いてしまった野乃。
どっちも瞬間の判断で頭を回転させての応酬、みごたえがありました。
つうか、2つのサークルの対立を実に鮮やかに描いてくれました。
一応同じ3年生である西田姉が麦を連れ出してその場は一段落でしたが・・・。
この対決シーンだけでもかなり面白かったのですが、後半の屋上で、麦が声を発するまでのシーンもなかなかでした。
まずメンバーの再確認。
ポニテが可愛い、行動派の西田姉、その理咲に「もてるね~」とからかわれる桂木君。

それほど描写に尺が割かれているわけでもないのに、実にわかりやすい進行。
そしてその桂木先輩目当てでなぜかいついてしまっているちとせ、スルーされて灰になっても、めげません。
まぁ、写真部の佳代も来てますから、部外者以外厳禁、ってことでもなかったようですが。
そして台本読みになって、緊張する麦、今回2度めの妄想モード。(1度目は正確には夢でしたが)
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目がイッちゃってます。(笑)
でも麦って、妄想しよう、と思って妄想できるんですなぁ、それはそれで特異な才能かも。(^_^;
なかなか声が出ないのを見かねたちとせが麦を押さえ込んで、こちょこちょ作戦。
それを見て「笑い」の効能を語る野乃。
そして発せられる、麦のよく通る複式呼吸の声。これは才能とかっていう分野ではないかもしれませんけど、第1話で見せてくれた麦の声のシーンがうまい具合に定義づけられていたり、その声を聞いて、野乃が自分の咽喉を労わる仕草をしたり西田姉が気遣ったりと、実に印象に残りやすいやり方で仕掛けが示されてました。
ほんとにドラマとしての見せ方がうまいと思います。
麦のキャラが可愛いし、西田姉、ちとせ、という2人の行動派が物語を揺さぶってくれますし、野乃、美麗という相当な知性派も配されてますしで、キャラクター造形の豊潤さも感じさせてくれます。
まぁ、くすぐりのシーン前後を見てますと、ちとせも相当回転が速そうですけどね。

今後、野乃の声帯の問題がドラマの上に被ってくるでしょうけど、これだけ重厚なつくりですと、わかってても楽しみですね。
さて、この劇における声の問題、どう発展してきますか。
次回、いきなりの初舞台。
今期、期待の1本。
演劇研究会と、演劇部が並存する芸術系高校に進学した、あがり症の麦が、演劇研究会に入会しちゃうところまで。
まだ出だしでしたけど、キャラの描き分け、学校風景等、極めて秀逸で、かなりの満足感でした。
主人公は極度のあがり症少女・麦。

超奥手な性格にもかかわらず、ひょんなことから、その才能を見込まれてしまって演劇研究会に勧誘されてしまいました。
その勧誘されてしまうまでの経緯で、いろいろと人物像の描写がありましたけど、奥手な割に創造力は豊かでたくましく、一人妄想モードがあでやかに展開されてました。
はい、ここ、今回のポイントです。(笑)
最初は自己紹介を想定しての、ばら色の妄想。
遅刻してきた西田弟によって、無残に破綻してしまいます。もっとも、それ以前に既に、緊張状態突入ではありましたが。(^_^;
2度目が、倉庫の中で、演劇衣装を見つけての妄想。
このときは、現実が復活して終了でしたけど、この妄想シーンの美しさ、萌え加減、本作のキーポイントですなぁ。
とにかく妄想シーンはこれからも手を抜かず、しっかりと作ってほしいと思います。
今回の妄想シーンは素直に感動した、としておきますよん。(^_^)
演劇研究会のお三方。
会長の野乃、ポニテの西田姉、眼鏡男子・桂木。
この3人が西田弟を勧誘中に接触して転んでしまった、麦、さっそく野乃先輩から最初のアプローチでした。

えーと、ひょっとして、百合っ気も期待していいんですかー、と思わせるシーン。
登場時のルックスでは、元気系ポニテ娘の西田理咲の方に惹かれたんですが、行動パターンを見てますと、この野乃さんのアプローチにもかなり萌えるものがありました。
妄想シーンの次に良かったのが、演劇部の新入生歓迎公演の、舞台描写。
えーと、芸術系の高校の舞台をよく再現してますね。
高校レベルで、あそこまで装置を使えるところ、っていうのは限られるかも知れませんが、大学とかでしたら普通です。
学園モノで、ハルヒの成功以後、劇よりもバンドの方に力点が移ってきつつあるのは感じますが、それでも、学園モノ→文化祭→演劇、っていうのはけっこう定番化してて、いろいろと見ますけど、ほとんどが立ち読み立ちセリフなんですよね。
それがここでは舞台をやってた、っていうのが印象深かったです。
・・・実は大学時代、私も演劇部でしたので、あそこまでやってくれると、ちょっと懐かしくなったりしてしまいました。
まぁ、私は演劇部と言っても、演出、道具方で、舞台にあがることはありませんでしたが。
ここでは神奈ちとせがも猛烈に感動して入部してましたが、これがもう一方の極になるわけですね。
ちとせも可愛いく描かれてたので期待できそうです。まぁ、役どころはかなりのトラブルメーカーではありますが。(^_^;
つうことで、第1話は、稀代なる奥手少女、2つの演劇部、それぞれの新入部員、そして、代表である一之瀬野乃と榊美麗の胸に抱えたアンニュイな気持ち、対立の暗示と、ここまで、わかりやすく、過不足なく説明を入れてくれました。
絵がめっちゃ好みですし、ストーリィ進行もうまいですし、今後、すっげー楽しみです。
予定が1クールみたいなのが、すこぶる残念ではありますが。