ほとんど後日談で、激しい生と死の戦いから解放された久瀬とミズキ、そして第1期メンバーの総出演、夕と優子の再会。
きれいにまとまったんですが・・・お話としてはちょっと物足りません。
ハッピーエンドはあまり期待していなかったので。
ただまぁ、そこらへんはかなりワタクシの主観でして、アニメ作品として見た場合、第1期をも含めた有機的帰結でしたし、秀作、佳品であることは論を俟たないでしょう。
作画、というより画面構成の美しさ、心理情景としての反映、文字を巧みに使った演出等、作画面での技術水準の高さ、面白さなんかも充溢してましたし、物語そのものが「普通に」終ったように感じられてしまうのは、かなりさっぴいてもいいところでしょう。
ただ昨年の第1期があまりにすごかったので、どうしても「さらにすごいものを」という気分になってしまったのも確かなんですよね、その意味で、視聴者の側に責任がある、というのも重々認めつつ、「すごく良い作品だけど、なんとなく物足りない」という贅沢な感想になってしまうわけです。
いや、もちろん嫌いでもないし、低評価、というのでもありません。好きですし、素晴らしい作品だったと思いますが・・・。
というあたりが総括かな。
まぁ、あとはじっくりソフトが出るのを第1期同様楽しみにして、後はじっくりと時間をかけて、検証していくつもりです。
さて、振り返ってみて、この第2期、第1期の千尋ほど強烈ではなかったものの、ミズキと凪が良かったです。(^_^)
特にミズキ、事実上の第2期ヒロインだったんですが、下半身のフェティシズム、中学生らしい肢体の魅力、なんかがとってもステキだったんですが、千尋とはまったく違う方向での「幼さ」とその成長がうまく表現されてて、見ていて心地よかったです。
加えてEDの歌。
中の人がキャラとうまくあってて、とっても良い感じ。
キャラが歌っているように歌う、というのは、たぶん難しいんだろうとは思いますが、後藤麻衣さんのEDは、すっかりミズキしてて良かったです。
後半重要なキャラになった凪さんも、適度に悦痴で好み。
特に自分の意思で脱ぐときはなんともないけど、強要されて脱がされるのはいやだ、というあたり、女の子が垣間見えてて可愛いかったところです。
優子のキャラは、むしろ優子の物語と一体になっていたので、キャラ鑑賞というよりは物語鑑賞に近かったですね。
ということで、簡単ですがこれで。
原作を消化しきったみたいですので、これで終わりだと思いますが、映像表現の可能性として、ある楔を打ち込んでくれたと思います。
今年の作画大賞級作品でした。
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胸をうつミズキの物語。
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同じことばが状況でまったく違う意味をもってくる、というのは、ドラマでよく見る手法ですが、屋上でのミズキのストーカー宣言にはグッときました。
「好きだからつきまとうんです」
「好きだからお節介するんです」
「好きだから機嫌がいいんです」
・・・・
ストーカー発言なのに、全然そんな感じを受けず、むしろ、ミズキの想い、しっかりと久瀬をとらえた想いが実に心地よく響いてきます。
「オレは死ぬよ」
という久瀬の現実に引き戻す言葉に対してさえ、ミズキの気持ちは揺らぎません。
若さが発することば、単純で浅薄なように見えて、実はそれのみを見つめている真摯さのゆえに、鋭く深いものになる、そういう「意味」を越えたミズキの強い心があふれだすすばらしいシーンでした。
同時に、それに応えた久瀬もまた。
文字演出や、光効果等、凝った画面にも関わらず、つむぎだされる言葉はシンプルで、詩情もあふれてました。
この第2期は、第1期ほどには表現主義的手法ではなく、むしろスタイルとしては詩的リアリズムに近い感じを受けます。
ともかく、ミズキのあふれんばかりの想いがじわじわしみこんでくる、そんな気持ちが心地よいエピソードでした。
心電図の効果も・・・次回に投げられた感じでしたけど、まだ死んだわけじゃないですよね、あれですと。
ドラマトゥルギーとしては、それでも手術は失敗して、久瀬の死を胸に抱いてミズキがどう生きていくか、みたいな方向性だったんですが、はたした最終回はどういう結末を見せてくれるのか。
次々と第1期のメンバーがそろい始めてました。
既にお話の中に戻ってきていた新藤姉妹や、幽霊・優子に加えて、ヒロ、みやこまで。
代表して新藤姉妹を回顧しておきますが、無理のない帰結で、こういうあたりもストーリィのふくらみや、感性を大事にしている、というのが伝わってくるところです。

久瀬の結末がどうなるのか、そしてこの「音羽の町の物語」をどう〆るのか、次回、最終回が楽しみなんですが、コミケ遠征で感想が書けないか、書けたとしても相当遅れることが予想されますので、簡単に総括を。
第1期ほど派手な演出、深いストーリィ展開でもなかったですけど、その分、地に足のついた、しっとりとした叙情性があふれてて、佳作、傑作だったと思います。
物語構成も、変に連環を意識するでもなく、しかも自然にうまくからまりあっているようでしたし、作品世界に存分に酔わせていただきました。
昨年の第1期同様、今年を代表する佳品の1作、と言っていいデキだったと思います。

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「演出上、モノクロ画面でお送りします」
たしか放送法かなんかで、決まってたんですよね、こういう告知は仕方ないですか・・・。
優子の死までを一気にかけぬけましたが・・・なんとも悲しいお話。
一度は罰の中に生きようとして、そしてその咎たる雨宮が死んで、小さいながらも幸せな生活が見えてきて、その矢先の死。

夕が語る未来。
だれも悲しまない世界を作りたい。
これが後のオーストラリアの音羽につながるのでしょう。
優子が語る未来。
まだ話したいことがたくさんあったんです。
末期の言葉として、これ以上ないくらい悲しいものでした。
未来に出会ってから、生活を描き、凪を描き、久瀬の旋律を描き、そしてその結末までを描く、さながら詩か韻文でも見せられているかのようなきれいな流れ。
悲しくも美しい、ピュアな魂の子々、そんなものを感じてしまいますね・・・。
とにかく感動です。
ことばをつむいでいくのがバカらしくなるくらいにしびれました。
消えていくことばの余韻。
メロディによってつながっていく心。
どれもこれも胸をうちます。
夕と優子の物語は一応のところまできましたが、この未来という少女・・・。
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CV同じ人ですし、やっぱり後のミズキちゃんなんですかね?
名前が違うけど・・・施設にいた、っていうなら、その辺でなにかの変更があったかも、ですし。
でも普通、姓が変わることがあっても、名前までは変えないか・・・。
それに、すでに久瀬とは逢っていたようですし、だとすると前回、優子のことを知っていたことに対して、久瀬があんなに驚いていたのも・・・。
でもまぁ、未来→ミズキなんでしょう。
そう考えた方が、ミズキの中に生きる「優子」のヴィジョン、というのが明確になりますし、物語の情景ともあってきますしね。
この久瀬のヴァイオリンをのぞきこむスタイルなんか、現在のミズキに近いものも感じましたしね。

ここが一番可愛いかったです。
凪についても、少し・・・。
自ら裸婦モデルになる、といいだしておきながら、「脱げ」といわれたら「恥ずかしいからイヤだ」と拒絶する姿は・・・夕に対するいろいろな感情がくみとれて興味深かったところ。
サブタイに、第7話から繰り返し点のように現れる、「re」ですが、まとめてみますと、
1. ever → 12. forever
2. read → 11. reread
3. union → 10. reunion
4. turn → 9. return
5. utter → 8. reutter
6. flection → 7. reflection
対応関係は、たぶんあるんでしょうね。
サブタイのギミックもそうですが、番号をふられているドイツ語単語なんかも、全部そろうと一つの意味ある文になるのかなぁ、という気がしていますが、はてさて。
さすがにあの数を拾っていくのはタイヘンなんでやってませんが、どういう文ができるのかな、という興味は少しあります。違うかもしれませんが。(^_^;
ただ、合間合間にいれるタイミングとしては、面白いですね、今回で言うと、Stärke「強さ」なんが出てくるタイミングも、かなりはかったようなところでしたし、以前のWarum「なぜ」なんかも、まぁ、あれはわかりやすすぎではありましたが、効果としては成立していたと思いまし。
ともかく、全話終ってから、もう一度腰を据えて見直してみたい、とは思っているところです。
予告絵は鈴平さんでした。

物語性があまりに強いので、かえって帰結点が見えませんが、それだけに楽しみでもあります。
あと2話どうなるんでしょうか。
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Meine Hand ausgestreckt laufe ich 手を伸ばしながらぼくは走り、
Deine Schatten verfolge ich 君の影を追う
凪から優子へ。
「夕を知らないか」
「夕を不幸にしないでくれ」

徹底して脇にいる凪ですが、鋭い観察と洞察で主人公4人との心をしっかりと見つめてくれてますね。
第1期に比べて話がサクサク進んでいく感じなんですが、平行していた過去と現代の物語、ラストでミズキが雨宮優子の名前を口走ることで円環が見えてきたようです。
しかし、ほんとうに円環なのかは、まだ少し不明。
第1期からチラチラ出ていた、現代にも特殊な状況下で現れる雨宮優子、というのがありましたし・・・。
今回は比較的優子の側の比重が高くて、優子が雨宮の妹とそっくりであることが再認識され、そのスケッチから、やめていた雨宮が絵にとりかかる、その妄念の中で、火を放つ。
なんとなく芥川の『地獄変』みたいな展開でしたけど、似ていて違うのか、違うけど似ているのか、微妙なところです。
今まで美術教師・雨宮、画家・雨宮、という視点では見てこなかった、というのがあって、わりとどうとでもとれそうではあるなぁ、と感じてしまいました。
ならば私的な好みで、地獄変的な、狂気芸術の範疇で見てしまってもいいかな、と少し思っています。
つまるところ、そういった解釈の自由度、みたいなふくらみが感じられるシーンでした。
まぁ、展開としては、優子が妹と同じ顔をしている、ということの方が重要だったんでしょうけど。
久瀬の話は、久瀬の自問自答の中にいろいろと変化が見て取れるところでしたけど、あの「清算する」というのも、妙な感覚なんですよね。
芸術家的思考としては、むしろ「残したい」って思う方が普通ですから。
若くして死んだ芸術家が、いかにして自分の刻印をこの世に残そうか、というエピソードはほんとに多いですし。
そんなわけで、久世の潔さ、あるいは負けない勝負をしないということからくるこの「清算」、ストーリィの中では完結しているんですが、少し外から見ていると、「あれ?」・・・とは思ってしまうところです。
ただ、久瀬の感情についてはまだ結論はでていませんから、現時点で「最後の意志」として見てしまうのは早計ですが・・・。
新藤姉妹からお守りの鍵を渡される、ミズキ。
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「夢をかなえるためには、夢がないといけない」
でも未来がない人の夢は?
ミズキと久世の物語も次くらいで出口が見えてくるのか、それとも現代に優子が投影されてくるのか・・・。
ミズキが思い出した、昔の歌の記憶、これが関係してるんでしょうね、どうなりますか。
第1期のしかけもふくめて、少しずつ円環がつながってくる感覚がありますので、しっかり去年の今頃を思い出したい、とは思っているんですが・・・。(^_^;
予告絵は小林尽さん。

『夏のあらし!』アニメ化、おめでとうございます。
好きな作家さんの絵が、好きな作品でこういう風に使われると、嬉しいですね。(^_^)
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自暴自棄になる久瀬を見ていた凪は、再びミズキの前に現れる。そして、負けても逃げないミズキの姿勢に、希望を託すのだった。]
過去編が、やや青春恋愛ドラマの方に傾斜していって、現実度が濃くなりすぎ。
それでちょっと乗り切れなかったんですが、現代編の「逃げないミズキ」の姿勢にきれいにリンクしてきましたので、それはそれでよし、というところ。
どうも、第1期の表現主義的手法があまりにすごかったので、そういったエクスプレッシオニスムスなものを知らず知らずのうちに期待してしまっていいたのかもしれません。(^_^;
作画は相変わらずすばらしかったですし、夕暮れの町が引き起こす不安感とか、アイテムを通して心理を語るスタイルとかはすこぶる良かったんですが、あまりそっち方面を期待してなかったもので。(^_^;
後半の、凪が看破したミズキの姿勢と、発言がきれいにつながってきましたので、2/3くらいあった過去編が、現代編の「逃げてばかり」という素材になってた、と見れば、それはそれでうまい構成でしたけどね。
ということで、過去と現代の、「逃げる」状況。
そしてその状況とは別の次元で生きているミズキという存在。
このからみをたのしませていただきました。
「逃げる」状況。
妹を死なせてしまったときに、その場にいなかった雨宮と、その場にいたのに逃げてしまった火村夕。
夕の心の傷であるとともに、一生消えない悔恨でもある。
それが優子にも雨宮にも見えているわけですね。
それでも優子はついていこうとする・・・初恋に殉じるように。
結局それは引き裂かれてしまいますが・・・。
翻って現代。
死を待つばかりの久瀬。
これは結論がわかっている勝負。
逃げたくても逃げることがかなわず、にもかかわらず、なさねばならない勝負。
その「清算」を通じて、「逃げる」ことに対して夕への、凪への反撃。
でも人は逃げなきゃいけないときもあるんだよなぁ。逃げてはいけない時があるのと同じように。
かつて浅田彰が「逃走論」の中で語った「逃げる」こととは大きく違う、もっと古臭くて、もっと新しい問題。
そういう出口のない迷妄のような、逃げること、消え去ることを語りながらねそこに突然、霧の中から光が指すように現れる、ミズキという少女の実在感。
この対比が見事でした。
凪「恋愛はほれちゃ負けだ。ほれさせないといけない、とかつて久瀬は言った」
凪「なのに久瀬は、ほれてしまったミズキに負けてしまっているようだ」
ミズキ「コテンパンに負けてますよ」
凪「でもきみは逃げない」
凪「負けても立ち上がってくるきみに、久瀬はどうしていいかわからない」
この一連の対話が、今回のエッセンスでした。
過去編の優子と夕のエピソードでさえ、その前菜であるかのように見えてしまう、若々しい輝き、そういったものが、見ていて快感だったところです。
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今回は優子と夕の物語、ミズキと久瀬の物語、両方とも配置されてました。
まず、1回お休みだったミズキと久瀬の物語。
いきなり、凪の「恋人発言」は狂言でした、というところから。
あの告知シーンの表情があまりにシリアスでしたので、こっちの方向性はあまり考えてませんでしたけど、それを通して伝わる久瀬の想いが、より具体的、より人間的になってきた感じでした。
・久瀬は負ける勝負はしない。(凪)
・久瀬は信頼してもいいが、信用するな。(火村)
・「消えてくれないか」(久瀬)
・・・この流れで、久瀬が好きだったことに対して、強い決別の意志をもっていることが語られます。しかし、
・まだやりたいことがある。死んでも生きていたい。
ここにいたって吐き出される、負ける勝負でも、決断してしまったことでも、それでもしがみついていたい<人として、命としての心情。
なかなかみごとです。
そして同時に切々とした哀切もあります。
錠剤カプセルの色とか形とか、凪との会話とかで、彼自身の表向きの思考が示されつつも、そうではない本能的な部分の叫び、知ってはいても踏み込めない火村と凪、踏み込んでいきそうなミズキ。
生と死に関わっているので、こういう見方はちょっと不謹慎かも知れませんが、絵画的構図ですね。
感動というより、強い物語線を感じます。
優子と夕の物語。
こちらも現在の優子を考えると、生と死の物語なんですが、内面を描きつつも、もっと俯瞰的かな。
これは背景に、絶望感、厭世感に囚われてしまっている雨宮、という存在が大きくのしかかってきているからだ、とは思いますが。。。
優子のことば。
・私を見捨てたあなたへの復讐なんです。
・あなたは最初から一人で簡潔していた。
前回の最後のことばと強烈につながってくることば。
けっこう耳が痛いですね、このコトバ。
物語的には、心のトレースをしっかりと見せてくれた今回でした。
サブタイ下の独文、付点がないので、自信がないんですが、たぶんこんなところかな。
Wenn die Dunkelheit die Erinnerung zerschneidet 夕闇が思い出を断ち切ると
Auch jetzt hört es nicht auf もうとまらない。
こういうのって、全話見てから訳したほうがいいような気がしてるんですが、とりあえず。
「Warum(何故)」の嵐も、表現手法としては、いささか心当たりがあるんですが、どこまで意図的かは、全体を見てみないと、ちょっとわからないかなぁ・・・。
非常に面白く、かつ示唆的ではあったんですけどね。
作画はどこを切り出しても良さそうでしたので、景の「色」から。

次回「reutter」・・・またすごい演出になるのかな、このサブタイ。
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Mit einem Lächeln auf dem Heimweg 微笑みを浮かべて、家路につく
Meine irgendwann verlorene Stimme suchend いつかなくしてしまった私の声を探しつつ・・・
きました、これを待ってました。
今まで第1期に比べてゆるい展開といいますか、美術一体の表現スタイルこそ第1期の踏襲でしたけど、極端に心理東映はあまりしてなかったので、ことここにいたっての心象風景、OPからEDまで統一された活字の嵐、交錯する二重、三重の心理とその裏側、といったものが描出され、感嘆しました。
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しかも今期は最初らかなり具体的ですね。慣れた、というのもあるのかもしれませんが。
とにかくEDが終ってからのCパートの迫力、重さがすばらしかったので、その感動をどこまで文章にできるか、正直自信がないのですが、とりあえず、たとえ文は拙くても現時点での感想として残しておこうと思います。
まずアバン、今回のメインテーマである、雨宮洋子という女の子の表層をはぎとるシーンから始まります。
そしてOP。
キャラクターをいっさい出さず、文字情報だけを提示、活字による「テキストの重視」という形態を見せて本編へ。
まず、夕と優子の周辺事情、そして前回のひきで急に物語の中心近くまできた広野凪の挫折から。
「絵描きとしてのボクが、女の子としてのボクに語る」という言い回しは、いろんなものを含んでて興味深いものでした。
思春期のクリエーターが体験する壁だったり、高揚感だったり、いろんな要素がつめこまれたようなコトバなんですが、たぶんそういう普遍的な芸術感、美術観じゃなくて、もっと具体的なある一点に対しての発言なんでしょう。
「夕凪は風が吹かない時間」
滞留だと勘違いしてしまうけれども、そうじゃない、という凪は・・・既に外へ出てしまったのか、それとも見えてはいるけど、出られないのか・・・。
凪自身は、対象としているであろうそれについて語りませんでしたけど、その視線の先に誰か、特定の人物を見、それに対する自分の位置関係からの苦悶であったのは、ビリビリ伝わってきます。
ただここではまだ過去の世界。凪も、夕も、久瀬もまだ高校生だった頃の世界。
それだけに、現時点での凪を導くにいたったその経緯として、今後の発展が楽しみです。
あるいは第1期の景みたいになるのかな・・・。
そして今回の本題。優子の表層、過去、真実・・・。
表層に「うわべ」とルビをふっておきながら、過去に「みらい」、表に「うら」、真実に「きょこう」(虚構)、とルビが振られていたのもなかなか暗示的でした。
表層が凪で、それ以外が優子・・・だったのかな。いろいろ考えられそうですね。
優子の目にひそむ狂気。
それはクラスの樹脂たちがうすうす気づいていたらしい、という久瀬のことば。
この魔に疲れた優子の瞳は、再三にわたって、優子が自身を開陳するときにでてきました。
教会で、夕のことばをうけて、EDで、そしてラストに涙をたたえて。
事情を何も知らない次点で火村が欲した「好き」ということば。
この時点では真実だった、と後で語られますが・・・。
優子によって語られて真実、過去。
肉体の損傷、望まなかった初体験、引き裂かれ、破られ、穢された少女のからだ、心、想い。
その重み以上に、かつて夕が求めてくれなかったことへの悲しさ、そこにすみつく魔、狂気。
Cパートで優子に語らせるために、順を追って、くどいほど夕の心の後を追ってましたけど、みごとな展開でした。
どうして「求めてくれなかったのか」という優子の問いに、
「身代わりにしたくなかった」と嘘をつく夕。・・・嘘というよりも、前後の破綻かな。
「知ってますか?先輩は嘘をつくとき、まばたきするんです」
「好きって言ってくれたとき、まばたきはしなかった」
・・・・・・
「十年遅いですよ」
震えましたよ、このセリフには。
なんかもういろんなものがつまってて、普段の明るくふるまっているように見えるときの顔、瞳、涙で語るその心は・・・、魔も人も、すべて等距離にいるかのごとき真情の吐露。
最初から最後まで、一本筋の通ったテキストの映像化で〆られた今回、一体となったドラマの深さを見せていただきました。いや、普通に感動です。
カードの図案とか、凪の絵が切り替わっていくときとか、象徴としての視点で眺めていくといろいろと面白そうなんですが、カードの文字とかがちゃんと読めなかったりですので、まぁ、詳しい人がまとめてくれるでしょう。
今回、文字情報がかなり的確にその場面を語り、暗示してるように見えたんですが、あれってゲーム原作で既に仕込まれていたのかな、なんかかなり的確でしたので。
訳してみようかな、ともチラと思ったんですが、そんな時間、今ないので、涙を呑んでパス。
よって、久米田さんの予告カードについてだけ少し書いておきます。

今回登場しなかった、ミズキと久瀬・・・ですよね?←ちょっと自信がない。(^_^;
次回はこっちがメインになるんでしょうね、たぶん。
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Erinnerungen, die wiedererwachen
in dieser Brust verschlossen
この胸に閉ざされた 再び目覚める想い出。
・・・かな、なんかコンマが一つ足らん気もするんだけど、まぁ、ニュアンスとしてはこんなところでしょう。
景、登場。
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第1期の物語を終えて、ずいぶん可愛いらしい女の子になってました。
京介に頭を抑えられるところなんか、こどもっぽい可愛いらしさがあふれてて、ちょっと萌へ。(^_^)
「宿題」と言ってましたけど、ある意味、第1期の積み残しみたいなところでもありました、千尋との心のふれあい。・・・和解、というのとはちょっと違いますね、心の確認、みたいなところかな。
それに関してか、映研部長のメガネっ娘・絵美もお目見えでした。

こっちはたぶんこれ以上発展しないんでしょうけど。(^_^;
今回、凪を軸にして、物語の過去と現在がきれいにリンクしてました。
加えて、日本と豪州の地理的な差、というのも前回くらいから明確にされだしてて、第1期であった2つの物語が交差しない不思議が少しずつほぐされていったようでした。
そういう謎解きというか、解決編みたいなところもあるからでしょうか、この第2期、最初から物語がすごくわかりやすいですね。
もちろん、雨村教諭と優子との関係とか、凪が最後に行ったことばとか、いろいろと波乱はありそうなんですが、物語の進行そのものは、現時点ではシンプルで、かつ丁寧です。
その凪。今回の重要人物。

一応メガネの有無で、過去と現在が描き分けられている、みたいなところもありまして、まず過去の部分。
全裸のデッサンで、鏡に朱で線引きしていく姿。

後半にこれが生かされてましたけど、当然、久瀬のことについてかなり知っていた、あるいはそれ以上に踏み込んだものをもっていた、ということなんかなぁ・・・、こういうとき、ゲーム未プレイ組としては、今後の展開を楽しみにできますね。まぁ、してたらしてたでまた別の楽しみが生まれてくるんでしょうけど。(^_^;
この肉体の否定、画面の否定、あるいは自分の否定、みたいな朱引き、象徴ではなく現実だと思うのですが、どういう意味性が込められているのか、それともその意味自体が病んでしまっているのか、ともかく話の外縁にいる人物に見えた凪の今後に注目ですね。
第1期の宿題、景と千尋のふれあい。
景がいきなり豪州に来て、まずミズキと再会。
音羽そっくりの町、ということで、音羽ででもたぶんいたであろう、千尋のいる廃駅でポツネンと待っていると、そこにミズキが。そして遅れて千尋。
千尋の病ゆえ、「謝ることで傷つけてしまう」連鎖が永遠に続く、これがとけるように流れていく、抱擁。

このあたりは、かなり予想できていたことですが、しっかりと描きだしてくれたことは良かったと思います。
反面、第1期のままの、投げ出したような結末でも良かったのになあ、という気持ちも幾分かはありますが。
その2人の心を伝えるように、背後から現れた、現在の凪。
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新藤姉妹が好きだった、そしてどちらとも結ばれることがなかった広野紘の姉・凪。
そして久瀬修一や火村夕の同級生でもあった、プロの画家。
立ち位置を並べてみると、しっかりと物語の円環の中に入っているのに、いままで外縁部のような描かれ方でしたので、こういう関わり方は意外でした。
思い悩むミズキを見て、ミズキの久瀬への恋心を知り、放つ冷たい一言。
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すばらしいシメ、ヒキでした。今回のエッセンスがつまってるような流れ。
ここで切れたので、凪の真意がどういうものか、推測するのは少し面倒ではあるんですが、面白いヒキでした。
この高圧的なアングル、冷たい視線、なんかも実に効果的ですね。
視聴したのは、放映からだいぶ経ってましたので、もう次回放映が迫ってきています。楽しみですね。(^_^)
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なんか書いてたのが、アップ時に消えてしまって、意気消沈・・・。
FC2もうやめようかなぁ・・・。
ということで、これの3倍以上の分量を書いてて、独文の解釈だの解説だの美術の光源とかについてとかダラダラ入れてたのですが、さすがにもう疲れたので、簡単に感想だけにしておきます。
ミズキちゃん、かわいいかったですね。
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なんていうか、一夜あけた恋人同士のようなキスだったんですが、一応まだ中学生。淫行対象の年齢です。(^_^;
第1期では物語の外縁部にいて、マイペースを貫いていたミズキでしたが、この第2期では主役の一人になってることもあって、久瀬の言葉一つ一つに揺れ動く感情が語られてて、その豊かな表情がまばゆいばかりでした。
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ここの光の移ろい、時刻との関連、表情の上に反映する光、どれもけっこうな計算が反映しててすばらしかったです。
久瀬の死に対する意識を聞いて「お天気雨」の涙を流し、「オレも好きだよ」といわれて一瞬表情を輝かせ、その後の「だから会わない」ということばに衝撃を受けたり。
「女」の目覚めを感じさせる表情と、幼さを反映する表情の変化が絶妙で、ミズキという少女の人間像を深く描いていてくれたと思います。
夕と優子の思いで。

そして現在。

この辺の情景から浮かび上がってくる優子の姿、あるいは景のシルエットのような姿、どれもこれも心理状況をうまく美術の上にすくいとってくれてました。
特に、雨宮とその妹の過去の回想で使われた、ワンポイント技法。
第1期でもさんざんありましたし、表現としては昔からあるものですが、こういう風にはめこんでくるのは実にうまいですね。
時計を浮かびあがらせながら、実は時計ではなく、それをしていたグレーの妹の方に力点がある、というやり方は、第1期でもありましたけど、いい構図になっています。
ということで、お話の進展としては久瀬とミズキちゃんの方が早いんですが、優子と夕の物語にも、相当深いものは用意されてると思いますので、その出し入れを楽しみたいです。
広野紘と、みやこも出てきました。
逆光のシルエットは・・・景でいいんですよね?
ショートカットだったし、なんとなく凪にも見えたんですが・・・。
凪の谷間が嬉しかったので、それを回顧してしめておきます。(^_^)
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久瀬に会ってもらえないミズキは、千尋と再会する。そして千尋から、久瀬が病を患っていて余命いくばくもないことを知らされる。]
アバンの久瀬のヴァイオリン、ちゃんと指がビブラートの動画になってて、ちょっと感激です。
単純に動画の力点をどこに置いているか、という問題だろうとは思いますが、ヴァイオリン演奏のときの、左手の運指法の描写にはまともなものが少なかったので(もちろんないわけではありませんが)こういうところをちゃんとしてくれると嬉しいですね。
Aus meiner Hand entgleitet die Splitter des Traums 僕の手から夢のカケラが滑り落ちていく
Um die verlorene Antwort zu suchen renne ich los なくした答えを探すために、僕は駆け出す。
どうもうちのテレビだとまだ液晶じゃないので、綴りに自信がありませんが、たぶんこうだったと思います。
さて、本編。
この第2期はストーリィがストレートですね、いまのところ。
まず、夕と優子の物語から。

優子が雨宮の家に引き取られていた、と言った後、優子と雨宮先生のアイコンタクトというか、視線の動きが気になります。
優子が、上履きや靴を隠されていたことを評して、たいしたことではないといってみたり、いじめをした方のストレスを言ってみたり、ミディアムいじめといってみたりしたことと、リンクしてるんでしょうか。
雨宮の家で、言えない悲惨なこと、とかがあるのかな。
こっちの物語はまだ人物関係の描き直しと言いますか、過去にさかのぼっての解説の側面もありますから、仕掛けが少しずつ進行しているんでしょう。
この時点での優子は、まだ生身である、と解釈していいんですよね?
優子の身辺事情として、広野ヒロの姉・凪が頻繁にでてくるのですが、裸デッサンが問題になっている、ということを雨宮先生から語られます。
そのときの絵なんですが、デッサンされた側からの構図になってたのが面白かったです。

凪は脇キャラっぽいので、あまり筋立てにはからんできなさそうですが、いかにもなお色気要員っぽいので、けっこう期待していたりします。
映像表現が凝ってるので、なくても存分に楽しめそうですけどね。
ミズキと久瀬のパート。
神経症・・・けっこう音楽やってる人に多いので、なんか妙に生々しかったり。(^_^;
ミズキの方は、どうもEDのせいか、おっぱいのふくらみが気になって仕方ありません。(笑)

処女属性がビンビン伝わってくるキャラですので、おっぱいのふくらみがアンビバレンツな魅力をもたらしてくれます。
ラストの燃えるヴァイオリンにつっこんでいくところとかの、フェティッシュな描写とかも、肌の発育と不釣合いな幼さが同居する魅力を伝えてくれておりました。

ミズキちゃん、ええのう。
まだ物語が、それほどのシリアス側に落ち込んでないので、こういうフェティな見方も許されるでしょう。いまのうちに堪能しておきます。(^_^)
さて、第1期の主要メンバー、千尋ちゃんと蓮治くん登場。

千尋の、第1期を受けていると思えるリアクション等、よくわかった演出で、嬉しかったです。
こういう、第1期を見ている人間に暗黙の了解を求める手法、嫌いじゃありません。
一見さんお断り、みたいな不親切な作りとも言えますが、続編をもってしている以上、それは仕方ないかな、と思いますので。
久瀬のアヴァイオリンへの決別の気持ち。
その決別の炎の中に飛び込んでいくミズキ。
どうしようもない変えられない時間に対して抗う姿が、第1期の千尋とかぶさってきますが、ミズキと久瀬はどういう物語を紡いでいってくれるのでしょうか。
楽しみにしています。