蛍火が散って後、どうも時間稼ぎのような展開が続いてましたが(個々の戦いはすごく面白かったのですが)、今回の、終局へのたたみかけはなかなか見ごたえがありました。結果としては、朧が陽炎、天膳の二人にとどめを刺した、ってことになりますかね。
まず、天膳対弦之介。天膳は、剣技はそんなに強いわけではないようです。以前にも少し書きましたが、横山先生の伊賀影で、この天膳がモデルと思しき阿魔野邪鬼なる不死身の甲賀忍者(!)が、影丸のライバルとして登場するのですが、こちらは風太郎忍法帖をうまい具合に消化して、不死身のアイデアは取り入れながらも、「得意技は相討ち」という不死身の特性をうまく生かした戦法をとっていました。風太郎原作でも、戦いぶりはそれっぽいんですが、伊賀影ほど徹底してはおらず、またせがわ原作でも、今回のアニメでも、相討ちが得意戦法になる、という発展形が、それほど有効に使われていなかったので、おそろしい能力であるにも関わらず、やけに弱い印象を受けてしまいます。ここらへん、せがわ原作もそうだけど、身内に何か得体の知れないものを飼っている、という設定もけっこうなんですが、その不死身の特性をもっとうまく剣戟の上に生きるような示唆がほしかったところです。
薄明の中で切り結ぶ姿は、やや地味な印象もありましたが、そちらは、朧が眼を開いて後の、すばらしい効果があったので、こっちに関しては、美術ともどもすばらしい絵と構成だったと思います。
それにしても、首が落ちるシーン、2回もよくがんばりましたね、深夜とは言え。・・・ただ輸出はかなり限られるかな?(笑)
陽炎対朧・・・と言っていいもんかどうかわかりませんが、考えてみれば、陽炎も朧も味方を殺してしまおう、としたんですね。
朧の瞳は、その力を発揮してからだいぶ時間が経っていたので、ここで思い出させて、最後、天膳とのまるで超能力バトルのような戦いに効果的に出してくれました。
そして、天膳対朧。今回のハイライトですね。
薄暗がりの中、段に腰掛けたまま、天膳の復活を凝視する朧、必死にそれに抗おうとする、「天膳の中に飼われている何か」との人智を超えた戦い。
ここ、せがわ原作で追加されたところで、朧が天膳だけでなく、さらに異形の物と戦っているような感じでした。いいのかどうか、ちょっと判断に苦しむところですが、映像としては迫力あったと思います。
ただ、せがわ原作の方を取り入れるのなら、しっかり説明はしておいてもよかったか、とは思いますが。双子として生まれてくるはずの片割れ、という追加説明ですね。あの回想シーンは、どうもそうではない過去を出したかったみたいでしたけど、これはまったく説明不足。よくわかりません。それとも、なんか放送できないことばとかが含まれてたのかな?
次回、第24話で最終回ですか。後半、展開のスピードが鈍ってややダレだけど、映像表現としては、大いに満足でした。
有終の美を期待しています。ソフトも買うよ~ん。