もう主人公、野乃と美麗でいいんじゃね?・・・とかつては私も思ってました。(^_^;
演劇決戦の後、麦が主人公たるゆえん、を見せてくれますけど、アニメの方では実にしっかりと原作を丁寧に仕上げてくれてますので、ここまでは、原作以上に野乃と美麗の強がってばかりの友情、に目をひきつけられていました。
まず、公表されたポスター。

なんかいい感じで仕上がってますけど、麦は演劇部部員達にさえ認識されていない地味キャラ。
でも仕上がりはいいですね。写真は佳代ちゃんかな?
今回のメインは倉庫の場面でしたけど、そこまででも良いとろこはいくつかあったので、ピックアップ。
まず、オリナル。
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桂木先輩に会いに行って、偶然目撃してしまった、研究会の練習風景での麦チョコ、それを見て、美麗に「しごいてください」と階段の下で土下座をするシーン。
良いですねぇ、オリナル。フワフワ浮ついているようには見えるけど、麦とは違って、もうしっかりと演劇魂のようなものがしみついてしまってるわけで、とっさに切り換えられるこのセンスというかフィーリングが心地よいです。
美麗からあふれる演劇スピリット、一番強く継承していきそうなのは、オリナルですよね。
ついで、倉庫前の美麗部長。
雨の日に野乃に差し出した傘を拒絶されて、野乃に気があることは周知の桂木君が近くにいたので、
「無愛想で自分勝手で無茶苦茶で、辛くなるだけだよ、諦めなさい」
ところがすかさず桂木君。
「それ、自分に言ってる?」・・・ナイスです。
「何のことよ」・・・美麗、図星でした。(笑)
一瞬のうちに切り替えす桂木クンも、なかなかの演劇センス。

桂木クンは、野乃に気があるけど、野乃の方には気がない、っていうこと、とっくに承知していて、なおかつ諦めていない、そういう達観したところがあるからこそ、美麗の心の中というか、本質まで見えちゃうんでしょうね。
一方の美麗、演劇人としては、桂木クンよりも、むしろ理咲に近い感じを受けました。
そして倉庫の場面。正直感動しますた。
鍵が開いてたとも知らず、一人コントの美麗。
今回、シリアスな中にも、こういう可愛いシーンがたくさんありまして、美麗の人間性というか、奥行きが一層しっかりと見えるようになっていたと思います。

ところが出ようとしたところ、扉があかなくなって、大声を出しますが、なんと声帯を痛めている野乃までが大声を出して助けを呼び出して、美麗びっくり。

そのあと、「声が出なくなった」の書き文字。
結局、野乃の芝居だったのか、マジだったのか、はっきりとわからないような構成にしてましたけど、後の抱擁のことを思いますと、ここはマジで出なくなっていた、と思いたいところですね。
回想シーン。
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美麗が誘い、そして野乃が主役を勤めるまでになっていったこと。
「誘ってよかった」・・・このとき、美麗、幸せの絶頂期。
こうしてみていると、野乃って典型的な娘役ですね。ヒロインタイプ。
理咲にしても、美麗にしても、上背があってスタイルもいい、演劇人らしい演劇人、てところですけど(男役でもできる万能選手型)野乃の場合、固定タイプ、ってのが、才能の差、として認識しされてしまってるところのようにも感じるところ。
とはいえ、麦の目から見ると、野乃にしても相当のセンスに恵まれているように見えるんでしょうけど。
でも芝居って、肉体による表現だから、やはりカラダは大きい方がいいですし、野乃の舞台上での可憐さも、きっと側に美麗みたいな存在がいてくれたからこそ、みたいなところもあるんでしょう。当然、野乃にもそういうことはわかってたでしょうし。
「一人じゃできないことを教えてあげる」
この辺りの美麗、すこぶるカッコいいですよね。
オケの経験もありますけど、オケとか演劇とかの、全員でやってる、っていう一体感、これってスポーツのそれとも少し違う、一種独特の高揚感があります。
経験しちゃうと、もう麻薬みたいに忘れられなくなるんですよね・・・。
でもこの幸せの理由だったことが同時に苦悶の原因となる美麗。

野乃に起こった声帯麻痺、それによって筆談になってしまってた、っていうのがいい効果になってました。
友達もいなくて・・・というコトバに対して「友達ならいる」とやり返す野乃。
「理咲や桂木クンのこと?でもあの人達は・・・」と言いかけた美麗に・・・。

今回の、震えるくらいに良かったシーン。
来るぞ、来るぞ、とわかっていても、切なくなる2人の心に、なにかが流れこんでくるようでした。
この抱擁だけは、百合とかってコトバでは片付けたくなかったところです。

で、外で聞いていた麦の、でっかいくしゃみで、無事脱出。(笑)
翌日「寝たら治った」と聞かされて、ギリギリする美麗。

こういうところもすごく可愛いかったところでしたなあ。
もっとも、野乃の咽喉の悪化は確実に進行しているわけで、そういう表現でもありましたが。
毎回毎回、繊細な心の揺れを鮮やかに描いてくれて、もう楽しみで仕方ありません。
学校空間の中で、これほど「知ること」「触れること」「向き合うこと」の喜び、悲しみを繊細に描いてくれる作品は、そうそうないと思います。
次回、オリナル、野乃、そして麦・・・。