うーん、このラスト、賛否両論分かれるところでしょうねぇ。最後の響八郎の奉納のシーンは別に問題ないと思いたいのですけどね。蛇足といえば蛇足かも知れないけど、ともに倒れたまま終わる、っていうのは、いかに原作の肝とは言え、現代のアニメ視聴者には重いかもしれませんから。ただ、やるんなら、もう少し両国の和解のシーンなり、人知れず奉納する響八郎の悲しみの影なりを描いた方が伝わりやすかった、と思います。それでも蛇足には違いないですが。
まぁ、アニメ作品として見たいので、あんまり「原作は、原作は」っていうのは感心しないのでやめますが、もう少し原作読んでる人間に配慮してほしかったかな、という気は少しだけしました。
さて、というわけで、アニメとしての最終回の方。
淡々とした進行、その中にはさまれる朧の回想、いい演出だったと思います。声を入れてなかったのもいいですね。
第1話でお互い相討ちで倒れてから、お幻と弾正はもっぱら回想シーンでのみの登場でしたけど、この2人の扱いは最後までうまかったと思います。はっきり死んでいるのがわかるので、この2人が出てきたときは、明らかに過去の話だから、という構造になりやすいし、既に倒れた忍者達への追悼にもなってますし。
今回の、お幻の色直しをこっそり覗き見るシーン、夜叉丸と蛍火が中心になっているようなところもよかったですね。こっちは弦之介と朧のように、殺しあう宿命の悲恋ではないものの、将来を誓いあった仲が引き裂かれたという点において、朧や弦之介とも近いものがありますから。それゆえ、多くを語らずとも、宿命の名の下に散っていった恋の悲しさがはっきりとわかるわけで、最後の回想として、秀逸だったのではないでしょうか。・・・もちろん原作にはないんですけどね。(^_^;
奇怪な術こそ使わなかったけれど、阿福の妖怪じみた挙動もそこそこ楽しかったです。まぁ、この阿福の存在が終末、二人を絶対に結びつけることのない権力側の代弁でもあったわけで、そういう効果としても良かったんですが、デザインから発言から、ばけものじみたところがよく効いていたと思います。「くのいち忍法帖」とのからみは前にも書いたので述べませんが、春日局ではなく、権力の走狗のすごさ、が十分に感じとれたと思います。
まぁ、デザインで言うと、家康も十分にばけものでしたけどね。
始まる前から、制作資金の調達方法等で、いろんな話題を投げかけてくれてましたけど、トータルで見ると、作画の破綻もそれほどなく、十分合格点だと思います。
原作との違いも、毎回気になる点は、大なり小なりありましたが、もともと風太郎原作の方のアニメ化ではなく、せがわリライト版のアニメ化、ということなので、まぁ、許容範囲ですね。筋が変わったわけでもなかったので。
不満があるとすると、前半の軽快なテンポに対して、後半がかなりスローダウンしたことで、最初の1クールで消化が早すぎた感があった、ということでしょうか。
従って振り返ってみて、面白かったのは、前半の伊賀方がリードする戦いの方に多くて、蛍火が将監をメッタ刺しにするところとか、お胡夷が囚われて後、蔵の中で行う2番の吸血勝負とか、夜叉丸が左衛門と刑部に騙されて討たれるところとかですね。この辺はワクワクしながら見てました。
全編通して好きだったキャラは、なんといっても蛍火。
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あと夜叉丸、左衛門とお胡夷、あたりかな。

地虫や将監の人間離れした怪異な姿も、けっこう好みでした。
シーンとしては、朧の忍者装束なんか、激しく萌え、でございました。

とにかく、原作は文句なしの名作ですので、多少の脚色はあったにせよ、素晴らしい映像に仕上げて下さったスタッフの方々には感謝したい気持ちでいっぱいです。たぶんソフトも買わせていただくことになると思います。
いい作品をありがとう。