最終回。
このあたり、原作がどうなってたか読んでませんので、けっこう新鮮な気持ちで見れました。
恋物語としては普通に終った感じでしたけど、今回もいろいろと時代ものがあって楽しませてもらいました。
まず、火事の防火瓶。
この時代でもまだああいうのを使ってたようです。陶器製みたいでしたね。
アパルトマンとかですと、20世紀の映画でもときどきお目にかかりますから、普通だったのでしょうか、どうも印象としては、都市が成立しだした頃、っていう印象だったもので。
水以外になにかをかけてましたけど、灰? 砂じゃないんですか。アルカリ灰なのかもしれませんが。
あのあたり、特に何の説明もなく、消火活動してましたから、いろいろと想像できて楽しいですね。
資料はしっかりと調べて作画してくれてるだろう、っていう絶対の信頼に近いものがありますので、自分の知識の薄いところのものがでてくると、かなり目をひかれてしまうところ。
メルダース家の様式も、さりげなくなんですが、けっこう時代を表した描写がされてますしね。
融資については前回書いたので、割愛。
ただ、小切手の書式なんかも、見る人が見れば面白かったのかもしれません。
ドラマ部分としては、第1部での、閉館間際のクリスタルパレスを思わせる幕引き、ドラマとしてうまい閉め方でした。
そして、それぞれの家族。
一番反対していた父がもっともよき理解者となり、まだおとなになっていない弟妹達は、まだまだわり切れない様子。
ヴィヴィの言ってた「兄さまのおかげで危機は脱したけれど・・・」というのが、感情的な側面をよく代弁していたと思います。
そして、静かに火花を散らせて終って、ジョーンズとキャンベル。
世紀をまたぐと、合衆国の成金社交界が全世界のセレブを一時おおってしまいますから、いろいろ考えさせられるところもありますなぁ。
幸せな結婚、そして子供にも事業にも恵まれたような様子が描かれていたラスト・・・でしたけど、時期的に、この直後に第1次大戦ですよね。(^_^;
戦争の世紀・・・欧州全土が不幸な戦争を体験する時代に突入するわけで、そう思うとあの幸せそうな情景も、なにか陽炎のような、はかなさ、淡さを感じてしまうところではあります。
だいたい「古きよき時代」っていうのは、2つの大戦前のことを言うことが多いようですからね。
ともかく、最終回。
ドラマ部分も優秀ではあったんんですが、劇中に描写される時代考証の効いた文物のすばらしさがとにかく際立っていたと思います。第1部ででもそうでしたけど。
個人的願望としては、世紀末ロンドンの劇場を出してほしかったなぁ、とは少し思いました。
日本にいると、劇場はパリ、みたいなイメージがありますが、演劇都市としてみた場合、ロンドン、ベルリン、モスクワが抜けてます。
それぞれに個性がありますが、世界金融の中心地として君臨していただけあって、日本人にも受け入れやすい普遍性、という点ではロンドンが一歩長じていたような感じでした。それゆえに、ロンドンもしくは近郊の劇場を出してほしかったんですけどね、とりわけドルアリー・レイン劇場なんか。
というわむけで、これだけ一つの時代を切り取ってくるのがすばらしかった作品、っていうのは、過去にちょっと記憶がありません。
その点だけでも、アニメ史に残る佳作だった、と思うところです。
テーマ:英國戀物語エマ 第二幕 - ジャンル:アニメ・コミック