Animax組。
しかしいろんなテーマに切り込んでくるよね、この作品。
今回は、生まれついての盲目だった少女が、光を取り戻したときのとまどい、というのを軸にしながら、その背景に視覚領域における脳の適応発育、というのをからませて、サイバー世界とリンクさせてました。
前回の音楽の話は、なまじクラシックを長年やってきていたりするので、けっこう粗というか、んー、そういうのはもう20世紀前半くらいに解決していた問題だったりするんだけどなぁ・・・というような想いも少しありましたが、今回の感覚領域と、脳科学みたいな分野については、それほど知らないこともあって、普通に面白かったです。
ただまぁ、逆に言うと、そっち方面の知識が希薄なので、ここで言われていることを鵜呑みにして信用してしまう可能性もありますが・・・まぁ、そんなにひどい嘘はついていないでしょう。
で、言われていたことが間違っていない、というその前提で書きますが、最初から見えない人が、映像、特に色彩を手に入れたときどう感じるのだろうか、というのは、興味深い素材ではありますね。
フォルムに関しては、作中でもありましたように、触覚情報でかなり補填されているからそれほどの差はないと思いますが、色彩だとかは、どういうものなのか。
それに対して、脳の領域が変化してしまっている、というのも(くどいですが、あの説明が本当だ、と仮定して)さまざまな問題をはらんでくるんでしょうね。
今回のこの話では、創造の源泉がかれてしまった、というような形で描かれてましたが、かなりきわどい内容・・・ともいえますな。
全盲の少女、というと、思い出すのがジイドの名作『田園交響楽』だったりするんですが、あの作品も手術によって見えてしまったがゆえに起こる悲劇、でしたから、ある意味近い感じはあるかな。
こういうきわどい、しかも深いテーマが語られてましたけど、アニメらしい面白さもいたるところにありました。
特に面白かったのが、次の2つ。
・波留の捜索。
それまでイリスというアーチストの存在を知らなかった波留さんが、そのメタルアートに触れて恍惚となってしまい、捜索を忘れて入り浸ってしまう、というシーン。
なまじ「天才」だとか「人気がある」だとかっていうような説明がなくても、あれでもって、イリスのすごさがこちらにビンビン伝わってきたところで、演出としてはすごく面白かったところ。
・ユキノ・・・。
映見復学と聞いて身づくろいをする中にあって、このユキノだけは
「太ってるって言われたらどうしよう」それに対してサヤカが
「気にしてたんだ」
あー、たぶんそれ、視聴者全員の声だと思います。(笑)
そして映見が来ないとわかったその直後の映像・・・大盛りのパフェを嬉しそうにパクつくユキノの姿が・・・。
笑わせてもらったところではあるんですが、なんかいろんな意味ですごいね、このユキノっていうデブキャラ。(笑)
結末がやや不鮮明ではあったんですが、環境の変化、みたいな切り口でも考えられるし、いろいろ面白い素材でございました。