おお、なんか普通にみごたえありますな、ルークの成長物語。
今までさんざん見せつけられてきたルークの幼児性、それはオリジナルが誘拐され、レプリカとして作られたときからしか時が経っていない、言ってみれば7歳児のそれでした、ということが示され、しかもそういったとんでもない出自、犯してしまった過ち、さらにはティアから「すぐに他人の意見に左右される」幼児性を改めて指摘されながらも、それと向き合い、成長を決意し、宣言する。
「ロール・プレイング」というより、ビルドゥングス・ロマーン(教養小説)のような趣で、なかなか強い物語線を感じさせてくれますね。
しかも今までのルークのダメな性質が実にうまく生きてます。
たぶんなんらかの展開はあるだろう、とは思ってましたけど、アクゼリュスでの、瘴気に苦しむ人々に対して全然心を動かさなかったところから、大きな進歩、これが無理がなく進展してますな。
そういうルークの物語に、しっかりと理解を示すティアとガイ、そしてシンプルにルークを守ろうとするミュウと、パーティの個性描写もなかなかうまかったですし、ジェイドの過去がはがれるように見えてきたりと、奥行きのある物語として素晴らしい描写をしてくれました。
つうことで、ドラマがルークとアッシュの物語になってたので、美少女の競演はそれほどありませんでしたので、最後まで健気にルークを守ろうとする可愛いミュウと、ティアの横から見た豊かなお乳だけ回顧しておきます。
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ナタリアがアッシュの方へいってしまいそうですから、ルークのパートナーはティアになるのかなぁ、という雰囲気ですね。
この段階ではまだコトバは冷たかったですが、ルークの決意を見て、少し心を動かされたみたいですので、今後のティアの気持ちは注目していきます。
そして健気なミュウ。
動物的な純真さがなかなか可愛いくて、うちにも1匹ほしいです。(^_^)
アニスなんですが、聞いたところによると、けっこう性格の悪いところがこれからどんどん出てくる、とか言われてますので、ちょびっと期待・・・かも。(^_^;
会議にアッシュが参加していたことを受けて、「えー、こんなヤツ信用するんですか?」のシーン。

最近、可愛いのはルックスと声だけで、言動はかなり黒いところが増えてきてるアニス。
本性が黒いのだとしたら、それはそれでまた楽しみです。
しかしOPではルークに抱きついてるんですけどね。(^_^;
あとは、ジェイド・・・なにげに事件の中核にいるみたいで、こいつにルークを責める資格ないじゃん、と思ってしまったのですが、はてさて、どうなりますか。
本作とほとんど関係はないと思いますが、ルークの決意がビルドゥングス・ロマーンのように感じたところが少しだけありましたので、簡単に書いておきます。
ただし、アニメとは全然関係ないので、別枠で。
教養小説について。
個人やその精神が成長していく物語、多くは散文に見られるため、「教養小説」と訳されることが多く、19世紀ドイツに生まれ、その後、欧州長編小説の1典型になっていきます。
社会的に、あるいは人間的に無知であったり、稚拙であったりした人間が、いろいろな経験、人や社会に出会って、成長していく、多くは知性と人類愛なんかを獲得していく、というのがテーマになるため、たいてい長編小説になります。
代表作としては、
・『ヴィルヘルム・マイスター』(ゲーテ)
・『緑のハインリッヒ』(ケラー)
・『晩夏』(シュティフター)
・『魔の山』(トーマス・マン)
の4作が挙がることが多いと思います。
この中では、『魔の山』がやや入手しやすいかな。岩波文庫で各500ページくらいの上下巻ですが。(^_^;
『魔の山』は「Der Zauberberg」の訳なのですが、山にあるサナトリウムが、魔法にかかったみたいに隔離されている、そんなイメージですので、日本語の語感で連想される、遭難者があいつぐ「魔の山」みたいな小説ではありません。
ただ、マンの長編は、近代市民的知性が要求されるので、読みなれてないと、ちょっとしんどいかもしれません。
入手が可能なら、『緑のハインリッヒ』の方が物語的には読みやすい、と思います。ただしこれもそうとう長いですが。(^_^;
教養小説は、人が変われる、ということを教えてくれる、人生の文学、と言ってもいいかと思います。
テーマ:テイルズ オブ ジ アビス - ジャンル:アニメ・コミック